東洋エンタープライズとは

東洋エンタープライズは、1965年に東京墨田区に設立された衣料品メーカーです。

その前身は1940年代に創業された「港商」という会社で、もともと生地の貿易をしていました。

戦後間もない頃、経済活動を活発化させるため、日本経済界を牛耳っていた財閥を解体する動きが加速。

「港商」は三菱財閥系の商社で、このような時代背景により誕生した会社の1つです。

港商は戦後焼野原になった日本で、米兵向けのお土産としてスカジャンを作り、大ヒット。

スカジャン全盛期と呼ばれる1950年代において、その納入シェアは95%を占めていました。

アメリカがベトナム戦争に本格介入し、日本の米軍基地に米兵が溢れかえっていたた1965年。

「港商」は解散し、米軍基地の米兵向け衣料メーカーとして新たに「東洋エンタープライズ」が設立されました。

そしてベトナム戦争が集結した1975年に、国内向けの衣料品メーカーへと転身。

現在では、アメリカンカジュアルウェア全般の企画や製造を幅広く展開しています。

代表的なブランドは、テーラー東洋、シュガーケーン、サンサーフ、バズリクソンズなどが挙げられます。

東洋エンタープライズのブランドは、どれもアメリカのヴィンテージ復刻に注力しており、マニアックな商品展開をしているのが特徴です。

そのため一般的にはもしかすると馴染みが少ないかもしれませんが、本物志向のアメカジファンからは圧倒的な支持を集めています。

東洋エンタープライズの人気ブランド5選
ここからは東洋エンタープライズが展開する人気ブランドを5つに絞ってご紹介します。

テーラー東洋

テーラー東洋とは、東洋エンタープライズが展開するスカジャンのブランドです。

その始まりは戦後間もない混沌とした時代までさかのぼります。

当時とても貧乏だった日本人は、米兵にお金を落としてもらうため、現在の銀座界隈で露店を開いて商売をしていました。

そこには日本伝統の着物や帯、人形などが売られ、駐在米兵のお土産として飛ぶように売れました。

その光景を見た港商の社員は、米兵へのお土産物として「スーベニアジャケット」を考案。

アメリカ人に親しみやすいベースボールジャケットを模して、刺繍は日本の伝統的な竜や虎などの刺繍を施しました。

これらを露店で販売すると一気に人気商品になり、これが現在のスカジャンになります。

その人気ぶりが米軍基地の売店のバイヤーの目に止まり、日本各地の米軍基地に納入されました。

その評判は日本だけにとどまらず、海外の米軍基地にも広まりました。

港商から始まったスカジャン作りは、半世紀以上たった現在に至るまで、東洋テーラーの名の元で継承さています。


サンサーフ


サンサーフとは、東洋エンタープライズが手がけるアロハシャツブランドです。

1950年代にアロハシャツは最盛期を迎え、使用するプリント生地はアメリカ本土や日本に発注されていました。

その当時、東洋エンタープライズの前身である港商は生地の輸出入を手がけていました。

また、アロハシャツの自社ブランドも展開。米軍基地に納入していました。

そのような背景から、サンサーフはアロハシャツブランドとして、東洋エンタープライズが設立されて間もない1970年代からスタートしました。

現在では入手困難なヴィンテージアロハシャツの魅力を現代に伝えるため、細部にわたる再現にこだわっています。

創業から資料として収集したヴィンテージアロハシャツを分析し、当時の染色方法である捺染手法を採用。
最大の特徴である鮮やかな発色と奥深い色味が表現されています。

また、年代やメーカーによるシルエットや縫製方法、ラベルに至るまで、徹底的にその魅力を追求しています。

本物志向のヴィンテージアロハを忠実に再現したサンサーフのアロハシャツは、世界中のコレクターから高い評判を得ています。


バズリクソンズ


バズリクソンズはフライトジャケットの歴史と誇りを追求するブランドとして、1993年に誕生しました。

そのブランド名の由来は、映画「戦う翼」にでてくるスティーブ・マックィーン氏が演じる役名からきています。

バズリクソンズのアイテムは、ヴィンテージの復刻を意識したもので、限りなく本物のように再現されています。

ミルスペック(軍用企画)が採用され、糸の紡績から織り、生地の素材、各部の軍用パーツ、全体のフォルムに至るまで徹底的にこだわっており、完成度の高さがうかがえます。

中でも、ライオンユニフォーム社が1957年に製作したMA-1やスカイラインクロージング社によって生産されたN-3Bなどの復刻版シリーズは特に人気で、バズリクソンズの顔ともいえます。

1993年にフライトジャケットのファーストを発売以来、次々とミリタリーウェアを復刻しているバズリクソンズ。

どれも本物と大差がない出来栄えで人気を博し、コレクターの間では絶大な支持を得ています。

フライトジャケット以外にも、Tシャツやスエット、シャツやパンツなどのアイテムも人気があり、それらのアイテムはバズと呼ばれ、幅広いファンに親しまれています。


SUGAR CANE

シュガーケーンは米国向け衣料メーカーとして誕生した、東洋エンタープライズでも長い歴史を持つブランドです。

デニムなどを中心に、本格的なアメカジアイテムを展開。

そんなシュガーケーンの始まりは、東洋エンタープライズ立ち上げの1965年にまでさかのぼります。

当時はシュガーケーンというブランド名は存在していませんでしたが、米軍によるベトナム戦争への本格的介入を機に、日本の米軍基地関係者を対象として設立されたのがシュガーケーンの前身になります。

当初は米軍向けの衣料製造と共に、国内への米軍サープラス(余剰品)の流通窓口としての展開も行っていました。

ベトナム戦争が1975年に終結すると完全な国内向けの衣料メーカーへと転身。

その際に、初めて「SUGARCANE」というブランド名が付けられることとなりました。

日本のブランドでありながらアメリカ向けに作られていた本場仕込みの本格的な物づくりが、現在でも多くのユーザーに愛されています。

GOLDは東洋エンタープライズが誇るヴィンテージ復刻の技術をもとに展開するブランドで、2016年からスタートしました。

比較的新しいブランドにもかかわらずアメカジファンはもちろんのこと、今までアメカジファッションに馴染みがなかった層からも人気があります。

ブランド名の通り、アメリカの黄金時代を象徴する名品の雰囲気はそのままに、シルエットや素材に現代的なアレンジを加えた「モダンヴィンテージ」ともいえるアイテムを展開。

GOLDのアイテムには古さと新しさが共存しており、洗練された雰囲気があるのが特徴です。

例えばインパクトの強いスカジャンでも、素材やカッティングが現代風にアレンジされたGOLDのアイテムなら1枚羽織っただけで様になり、普段のコーディネートに取り入れやすくなります。

見たことがある定番アイテムなのになぜか新しさを感じるGOLDのアイテムは、アメカジ初心者にも受け入れやすく、新たなファンを増やしています。


東洋エンタープライズの中古市場での評価
ここまで東洋エンタープライズの特に人気の注目ブランドをご紹介しました。

主にアメカジファンから支持を得ている東洋エンタープライズのブランドたちですが、中古市場での評価はどのようなものになっているのでしょうか?

KLDの過去の買取実績や現在の中古市場での評価をみたところ、東洋エンタープライズの中では特にサンサーフ、テイラー東洋、バズリクソンズの評価がずば抜けて高くなっています。

サンサーフやテイラー東洋などは限定モデルや貴重なものも多く、そういったアイテムが中古市場の評価の平均を吊り上げている部分はありますが、そうではないアイテムも含めて全体的に非常に高く評価されています。

中古市場自体も取引が盛んで活気があります。

バズリクソンズもしっかりとした作りのアイテムに定評があり、「このクオリティなら高い金額を出せる」というユーザーが多いので平均単価が高く、中古市場では高く評価されています。

それ以外にも、東洋エンタープライズの本格的な物づくりを支持するユーザーは多く、中古市場では総じて高い評価を得ています。